ある知り合いの方から
「テレビで大手がもう高齢者見守りのサービス始めちゃったみたいだよ。
この間話してたシステムはやっぱり難しいんじゃない?
大手には勝てないよ」と言われました。
教えてもらったサービスは、高齢者がお湯を沸かしたりすると、
その通知が家族のスマホに自動で送られるという内容でした。
それを聞いて、3つのことをしっかり伝えられてなかったなと思いました。
1つ目は、「見守られているということをどう感じてもらうか」ということです。
その大手会社のサービスは、家族が通知を受けて安心するというものです。
高齢者の日常生活は変わりません。
何かあったときに駆けつけてくれるという安心感はあるかもしれませんが、
それは最初のときだけで、数日たてば今までと変わらない日々に戻っていきます。
見守られてることを感じる機会があまりないのではないでしょうか。
あんしん電話は、毎週一度必ず電話がかかってくるようになります。
そして元気かどうか、気になることがあるかどうかを知らせます。
毎週必ず小さな関わりがあり、
診療所や地域の方が必ずその知らせを見てくれています。
時にそれは「煩わしさ」になることもあるかもしれません。
でもその「煩わしさ」も関係があってのものです。
「人がいる」ということを忘れさせてくれない
「おせっかい」な仕組みがあんしん電話です。
2つ目は、「どんな人たちを見守っていくのか?」ということです。
民間企業、大手企業が展開するサービスは必ず「有料」になります。
お金が出せる人たちだけが享受できるサービスです。
しかし、お一人暮らしで近くに家族も、
遠くに頼れる人もいないという方たちは、
低収入な方も大勢います。
あんしん電話が加入を無償としているのは、
生活に困窮してる人もしてない人も、
どなたでも見守りのサービスを受けたいという方に
受けてもらえるようにという想いからです。
経済原理だけでは必ずこぼれ落ちる人たちがいます。
私たちは目指すのは社会のセーフティーネット(網)としてのあんしん電話です。
どんな人もこぼれ落ちない社会の網を目指します。
3つ目は、「関係の再生、地域コミュニティの再生」です。
例えば上記の民間サービスは、家族という関係がすでにある人が対象です。
頼れる関係を持たない人はサービスを受けることが出来ません。
他のサービスでも、利用者と企業間の2者関係をつくりますが、
それ以上の関係の広がりや蓄積は起こりません。
あんしん電話は、機器を通じて、
利用者、診療所、地域の見守りボランティアの3者関係を築き、
日々関係を蓄積していきます。
利用者との関係だけでなく、あんしん電話の普及を目指し、
診療所と地域の間にも関係性を生み出し、
また地域の中にも見守りをしていくグループが自主的なコミュニティをつくり、
継続のための連絡会などを発足していきます。
また、あんしんネットを通じて、
診療所同士、地域や自治町会同士がつながっていき、
お互いの活動状況を報告し合いながら、
工夫や悩みなどを共有していける関係をきずいていきます。
私たちあんしんネットが目指すのは
「関係の再生、地域コミュニティの再生」です。
あんしん電話はそのためのツールです。
しかしそのツールが無ければ、
今ある出会い、関係、活動とその成果は生まれなかったわけですから、
私たちにとってあんしん電話は切っても切れない大切なツールなのです。
大手企業がどんな便利で快適なサービスを展開するのだとしても、
私たちが目指す未来は、地域コミュニティの再生であることは変わりません。
超高齢化社会を生きてくすべての世代の人たちにとっての
心のセーフティネットになれるように、
日々の活動と発信を続けていきます。